この博物館自慢の一品(ポルシェ550スパイダー)
受付をすぎてドアをあけると、そこはもう博物館である。平屋建てのため、入り口に入ったところで全体を眺めることができる。

非常に奥ゆきの深い博物館に見えるが、これは壁が鏡でできているため、そう見えているだけである。またこの博物館の特徴は、立ち入り禁止の柵が車のまわりに無いという点だ。そのため柵の陰に車がはいることを気にすることなく撮影ができる。「ここから先は入らないでください」という表示はあるものの、入るか入らないかは個人の良識に任されているのだ。
ではさっそく車を見ていくことにしよう。まずはこの博物館自慢の一品から。


これはポルシェ550スパイダーだ。この車はレプリカが多く出回っているので見た目の珍しさはない。が、本物となると様々な歴史が刻まれているのだ。説明書きを紹介しよう。
550スパイダーは1954年、ポルシェ初の市販レーシングカーとして誕生した。この1台は1954年のヨーロピアン・チャンピオンシップカーである。1955年、アメリカに渡った4台のポルシェの中にこの展示車とジェームス・ディーンが購入した1台が並んでいた。ディーンは1955年9月30日、不慮の事故死。映画「ジャイアンツ」の撮影を終え、親しい友人達とロサンゼルスの北にあるサーキットにその愛車で向かう途中であった。
さてこの展示車は、渡米後ほとんどのレースでクラス優勝、または3位以内を飾り、ポルシェで初めてアメリカで活躍した車である。ヨーロッパとアメリカのレース歴を持つ唯一の車と言われている。
現存が確認されているのは世界中でわずか30台にすぎない。ジェームス・ディーンの伝記映画が制作される際、みごとにレストアされた四国自動車博物館の1台にハリウッドから出演の熱いラブコールがあった。